めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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機械時計を修理に出す

2017年に購入したセイコー機械式腕時計を修理に出した。

この当時はオリエントスリースターを使用していた。大事な局面でも使ったし、精度は月2分進む程度と良好だったが分時の針が安っぽかった。もう少ししっかりしたものが欲しいと思い、独特の巻き上げ時の音も好きになれず、セイコーの機械時計にした。

セイコー5でも良かったかもしれないが、やや高い価格帯のものを買った。セイコー5と違って手巻きができたり、時間を合わせるときに秒針が止まる機構がついていた。その時計は結局2年ほど使っているうちに止まったり遅れるようになって使えなくなった。

そこで代用でセイコー5を購入して今に至るまで使っている。セイコー5は本体が分厚くないし、軽いし、案外使いやすい。時間の精度も良くて、特にトラブルもなく3年経過した。

使わなくなったほうの機械時計だが、どうせ保証期間も過ぎているだろうと思ってしまいこんだままだったものの、改めて購入時の保証書を見てみたら延長保証に加入していた。しかも、その最後の年がそろそろ終わる節目だったので、多少負担してもいいから修理に出すことにした。

案外てこずらずに修理まで進み、修理費用もほとんど延長保証でなんとかなった。機械時計だけに分解修理したのかと思ったら、そこまで高価なムーブメントではないためかムーブメントごとの取り換え対応だった。

今はその機械時計も使える体制ではあるが、サイズが大きすぎず手に付けて重すぎないセイコー5のほうが使いやすいのでそちらばかり使用している。ただ、フォーマルな場などで安物をつけるのもみっともないがROLEXでは仰々しいような場では使うようにしている。

WiMAXが異様に遅い

2013年からWimaxを使っている。そして、運営会社のWimax停波にともないWimax2+を使い始めたのが2015年ごろで、以後ルーターは3代目という利用歴である。ここ2年ほど自宅での速度が全く出ない状態が続いていた。以前もそういうことはあって、速度制限だろうと思っていた。

しかし、今は速度制限は無いプランを利用していてもその状態で、仕事上必要なファイルのアップロードすら出来ないこともあって、スマートフォンにファイルを入れて近くの公園で接続してアップロードなどということもあった。利用環境が悪いというのはあるかもしれないと思った。

ビルの谷間の窓際であり、窓際にスマホスタンドを置いて、そこにルーターを充電しながら置いて向きを変えたりあれこれ試行したが速度は改善しなかった。クレードルに接続するアンテナとか、自作で金属容器にパラボラアンテナのようにルーターを置くとか、延長アンテナをつけるとか考えたが面倒で実行してこなかった。

先日、普段にもましてネット接続が遅くなった。そのルーターにつないでいる充電目的のUSBケーブルを手元の配線をまとめたいというのもあったが、スマートフォンと競合している可能性も考えてUSB有線接続を試すべくPCに接続しているUSB給電ハブにつないだ。充電しつつPCを利用しているときはルーターとのwifi接続ではなくUSBを介しての有線接続する状態である。そうしたところ、急に読み込みが改善してサクサク使えるようになった。

思えばwifiルーターレッツノートとの接続の相性は悪いのではないかと思うような場面が多々あった。ルーターを置いている場所との角度の関係で電波が遮断されるとか、周囲でwifi機器が使われていて競合していたり、自分のところでもスマートフォンも接続しているので、猶更競合が強くなったのかもしれない。そのあたりの無線接続の相性の悪さがUSB接続だと解消されて、これまで知らなかった既定の性能を発揮しているということだろう。

場所が場所なので電波が来なくてもおかしくないような環境だが、それでも一定の速度が出ていた。解約してスマートフォンと同じ会社のwifi契約も考えたのだが、定額料金で通信制限なしの今の機材を使っていこうと思う。

Oppo reno 5aと宿泊旅行

新しく導入したスマートフォンOppo reno 5aを持って週末宿泊を伴う旅行に出た。日中のバッテリーもちが良い感じがしていたが、カメラを頻用するなかでどれほど使用に耐えるかも試すことにした。いつもだとバッテリーが減ってきたら充電しながら古い端末を出してきてそれでカメラを使うようなこともしていたが、今回はreno5a単体で使うことにした。

行きは高速バス、バスの座席にコンセントやUSBコネクタがあって充電できるところが増えているが、今回はコンセントだったのでケーブルを二本刺してwifiルーターを充電しながらスマートフォンも使った。二口同時に充電だとそれほど充電されないイメージだったが、ともに満充電状態のままで維持できて到着時までバッテリーの減少を抑えることができた。

そこから移動、wifiルーターのバッテリーはそれほど持たないことは経験的に確認済みなので、モバイルバッテリーを持ってきてそれに接続してカバンのポケットに入れっぱなしにした。出先では電車か徒歩で移動してひたすら写真やムービーを撮り続けた。これで夜にホテルに到着するまでスマートフォンのほうは充電しなかったが、バッテリー残量はほぼ15時間ほど無給電でも40%ほど残った。wifiルーターのほうもモバイルバッテリーのおかげで本体のバッテリーは減らずに経過できた。

翌日もあちこち回りつつ帰宅したが、帰りは新幹線でコンセントがあったが使わなかった。モバイルバッテリーにルータースマートフォンも接続して、新幹線の中では充電しながら使った。帰宅時のバッテリーはほぼ満充電だった。

最近はスマートフォンアプリでPCで行っていたようなネット上の処理をこなせるようになったほかに、QRコードでの決済とかNFCを使った決済とか、ホテルなどのチェックインでもQRコート表示になるなど情報端末のバッテリーには余裕がないと生活の場から締め出されかねない。そんな中でバッテリーに余裕がある端末は生活上の不安を解消してくれる。

写真は400枚近く撮影していた。画質向上はやはりよくわからなかった。原寸表示で拡大してみるとGalaxyに比べて粗い感じがやはりする。また、シャッターボタンを押しても撮影されていないこととか、撮影にタイムラグがあったり、動画も撮影終わって録画を止めるときにボタンと録画停止の間にタイムラグがある。処理速度の割にきつい操作を詰め込んでいるからそうなるのかもしれないが、分相応のスペックにそこそこの性能のカメラを搭載していたGalaxy廉価版と比べるとダウングレードした感がしてならない。

Oppo reno 5aを使ってみて数日

新しいスマートフォンとして、そこまで高価でもない割にメモリとかストレージなどがしっかりしているOppo reno 5aを導入して1週間以上経過している。

普通に使っている。使用しているとポケットにひっかかったり端末サイズが大きくなったことを実感するが、使用しているアプリは従来通りGoogle標準のアプリをはじめとして機種固有の機能には依存しないものばかり使用しているので、従来のGalaxyやXperiaやNexus5のころと使い口は変わらないのが助かる。使っているときに画面の向こうの情報に向き合えて、端末の存在が出てこないのは良い機種の証だと思う。

カメラが売りの機種らしいが、撮影したみた画像を見てみてもGalaxyとの違いを見つけられなかった。むしろ色温度のせいか端末のAI機能だか知らないが、それのせいでやや画像が粗い感じもするし、ピクセルは細かくなったのだが画質の向上はあまり実感できなかった。動画は手振れ防止機能で妙にヌルヌル動いたり、変な補正を全解除する方法もほしいものがある。

また、カメラに力を入れる一方で音楽プレーヤーが端末固有の物が今一つ使えず、フォルダ再生ができないのでSDに大量にファイルを入れて使うスタイルでは実用的に使えなかったのでサードパーティー製のアプリをいくつか試した。ようやく気に入ったものをみつけて使い始めている。課金して広告なしでも良いかもしれないと思いつつも、フォルダをアーティストごとに細分化してから音楽プレーヤーの使用頻度も減ったのでそこまでしようという気になれない。

せっかくだしテキストエディタを起動してブログの更新内容を書いてみようと思ったが、面倒で毎回中断している。ここ2年ほどはPC更新が中心になっているし、タッチパネルで入力が面倒だし、やっと入力しても大した分量にならないことを考えると仕方ないところはある。それでも一回最後までスマートフォンでエントリを書ききってみたい。

最近は文章の書き出しがうまくできず、それがスマートフォンでの記述が進まない一因になっている。ひところはTwitterで書いた内容をコピーペーストして、ブログ向けに内容を補遺したりしてからアップロードをしていた時期もあったのでそれ相応にスマートフォンでのブログ更新には需要があったのだが、最近はTwitterはたった数文字の内容も読解できないような連中が言いがかりをつけに突撃したりするのであれこれ書きにくいためである。

そういったことよりも大きく変わった環境がケーブルである。USB type-Cメインになった。Xperiaに移行したときはスマートフォンwimaxルーターもtype-Cになり、Galaxyに更新してからはスマートフォン側がmicro USBに戻った。そして、再度スマートフォンルーターもtype-Cの体制に戻った。ケーブルを買うときはまだmicro USBで充電する機材が多いためtype-Cはアダプターで対応している。

type-Cのケーブルは手持ちは2本しかない。今後スマートフォン買い換えるときもまずmicro端子の製品は無かろうから、type-C端子のケーブルを買ってもよいが、モバイルバッテリーとかスピーカーとか外付けHDDとか、それ以外の機材にも使い回すことを考えるとまだまだ完全置き換えは難しそうだ。

OPPO Reno5aをセッティング

2017年にsimフリーXperiaを使い始めて以来、キャリア端末ではなくsimフリー端末ばかり使用していた。キャリア端末にいらない機能が多いとか、店頭での抱き合わせ販売が気に入らないという理由だったが、最近のラインナップとオンラインストア利用でそういった話が過去のことになりつつあることを知って機種変更した。

ちなみに今度の端末はOPPO Reno5aである。毎回機種変更のときはハイエンド端末を買うべきか中くらいのスペックの物を買うか迷うのだが、結局今回もミドルスペックのものにした。端末が到着して、開梱した。あらかじめヨドバシカメラでケースとフィルムを購入していたのだが箱の中に入っていて、無駄だったかと思ったが液晶のほうのフィルムはたんなる傷防護の出荷時のフィルムかもしれず今後貼る可能性はあるし、ケースは添付の物は少し安っぽい感じがあったので購入したほうを使った。

Galaxyをセッティングした時と同様に、Googleにログインするとクラウド上のバックアップデータが戻ってくるのでこれまで使用していたアプリとログイン情報の大半は自動入力できたが、一部のPCで使用しているサービスの認証に使うワンタイムパスワードのアプリのログイン情報などがなかったため、それは別途あちこち参照しながらセットした。一通りのアプリがDLされ、ホーム画面でのアイコンの配列も前の端末に合わせたものにして、端末やOSはOPPOだろうが使用しているアプリはほぼGoogleの純正アプリで普段通りの感触で使える状態を整えた。

問題は、simが認識していないことだった。Galaxyで使用していたsimを入れると認識するので新しく届いたsimに問題があった。それで、端末が来た時のキャリアのパンフレットを見るとURLにログインしてsimの切り替えが必要ということが分かった。問題は、切り替え手続きの時間をその時は過ぎていたのだった。結局翌日9時までは切り替え手続きができず、単なるwifi端末状態でGalaxyと一緒に持っていき、翌日切り替え手続きをしてやっと電話機として使用できるようになった。

SDはGalaxyのものを入れ替え、Galaxyのフォルダに入れていたファイル類もPCを介してコピーし終えた。これでXperiaのときにGalaxyに移行したようにアプリ以外のデータの移行も一通り終わった。

OPPO Reno5aは使っているとこれまでのGalaxyの廉価版と違ってディスプレイにパンチホール型でカメラがあって、時々使っていて違和感を感じるがそのうち慣れるだろう。アプリを使っていても、そこにかかるアイコンなどはないため使用に支障はない。カメラが売りの機種らしく背面のレンズがものものしい。使っていてすぐに困ったのはGalaxyのときも頻用していたmp3再生のための音楽プレーヤーが標準の物の機能が今一つなことである。SDに収納したフォルダを探し当てることができず、アーティスト単位で勝手に割り振ったり、音質もイコライザーがそれほどの性能でもない。仕方ないのでサードパーティーのアプリを入れて使っている。

新しい端末で指紋認証や顔認証が本格的に使えるようになって、これまでとっさに使えるようにパスワードなしですぐホーム画面に行けるようにしていたが、そういったリスキーなことをしなくても便利に使えるようになった。廉価版Galaxyでも指紋認証はあったのだが、精度が今一つらしいので使っていなかった。そのGalaxyからも数年しか経過していない機種なのに、それほどの価格でもない製品にしっかりした認証機能がついているところにデジタルデバイスの新技術の浸透・普及の急速な勢いを感じる。

窮屈に慣れる旅

先月、遠方に出るために夜行の高速バスを初めて利用した。かなり窮屈だったがカプセルホテル宿泊などはこれまでも何度もしているし、引っ越しの時は連泊で限られた空間で限られた荷物で暮らすような状態も経験している。その経験から、バスだろうが荷物周りの在り方を改善すれば過ごせなくはないと感じた。帰りは新幹線で余裕もって帰りたいが、行きは前泊しながら移動というメリットがあるので高速バスはありがたい。そして、運賃が手頃である。

座席空間はそれ以上大きくならないので、荷物のうち手元に置くものと網棚に置いたままの物を分けて手元に置くものだけ小さなバッグに入れて置く(網棚は先に置かないと占有されてしまう)、そもそもUSBコンセントも一口しかないようなところなので、情報機器を持ち込んでもほとんど使うあてがないし、あれこれ手元に置く必要はない。財布、季節によっては防寒着、スマートフォンとモバイルバッテリーとUSBケーブル1本、イヤホンマイク、座席で過ごすのにはそれだけあれば充分である。

旅行の持ち物はかなりシンプルになった。タオルなどは宿泊施設にあるので最低限の着替えだけだったが、4月からはホテルのアメニティが配布されないとかいう話もあるので持ち物に歯ブラシなども追加である。もともとホテルの洗面台に置いてある歯ブラシや歯磨き粉は一回使い切り前提の品物で使い口がいまいちだったので普通のを持って歩いていたのだが、その方式を復活するに過ぎない。

PCの持ち運びは迷うところだが、最近の荷物の構成だと空きに余裕があるのでレッツノートQVでも十分収まりそうである。窮屈だがwindowsタブレットにキーボードをつけるという方法もある。先日出かけた際はバスでは窮屈でタブレットすら使えなかったし、滞在先ではタブレットwifiを拾わなかったのでネットもメールもすべてスマートフォンで済ませた。日程自体が2日だったのでそこまでPCを要しなかったというのもある。出張ならばPCは必須なので、この荷物構成で余裕。そうでない場合も、緊急での対応に備えてPCを持ち歩く余裕はある。

以前はトレッキング向けの金属骨が入った32Lリュックに電源込みで2kg近いThinkpad、それに着替えなどでリュックが満杯状態で移動していた。それをさして苦痛とも思わなかったのは、重い装備が当たり前だったからなのかあちこち回るだけの情熱が重さを忘れただけなのか、それはよくわからない。この当時あちこち回って、今はそういったところから時期にあったところや気に入ったところでゆっくり滞在するスタイルに変わっている。以前だったら高速バスの窮屈さも気にならなかったことだろう。

レッツノートQVの購入1年

レッツノートQVを購入後1年ほど経つが、せっかくUSB PDのアダプターとケーブルを購入したのに持ち運んで活躍させる機会がなかなか来ない。

その一方で、ネット通販を見ていたらUSB PDのケーブルに社外品のアダプターを接続すると、自己責任ではあるがRZ4の電源プラグにアダプター部分を接続してUSB PDの機材を用いて充電して使えるということが分かった。購入するか迷ったが、結局そのまま購入していない。そんなものを使用したら猶更レッツノートRZ4のコンパクト性と利便性を高めることになり、製造から7年たっているPCなのに多用して余計QVを使わなくなることにもなりかねないものがある。

近々、GPU搭載のデスクトップPCを導入する予定である。自宅で使用しているレッツノートQVとは別に所属先でメインで使用しているゲーミングノートPCの用途が減る。自宅に持ち帰ってゲーミングノートPCを使うとしたら、レッツノートQVはようやく持ち運び用になるのか、その場合RZのほうはどうするのか、という運用の問題が出てくる。いまどき市販のレッツノートのメモリ標準搭載量が16GBになっている時代に4GBにCore Mの省電力CPUでWindows10のProfessionalを動作させてOfficeやブラウザも互角に使えるRZは使用を止めるには勿体ないものがある。

RZの長持ちぶりとともに気づいたことがあって、トラックパッドが使いにくいので普段一緒に使用しているマウスのことである。ふと気づいたら、それこそRZ4導入する前から同じマウスを使用し続けていることに気付いた。別にマウスの耐久性が増した訳では無い筈なのだが、5年近く同じものを使っている。前は壊れた時に備えて何個かマウスを蓄えておいて半年一回替えていたほどよく壊れたのだから不思議なものである。

考えられるものはPCの性能向上である。SSDの効果だと思うのだが、変に処理しているときにもたついたりすることがなくなり、全体的にレスポンスが良くなったので操作していて急かせるように使ったりすることがなくなったのだろう。今使用しているマウスはThinkpad、RZ4、ゲーミングノートPC、QVと4世代のPCを経験している。これを売っていた店はとっくに解体されてしまっている。

RZ4あたりから、PCを使っていて感じていた不十分さやストレスを感じなくなった。最新の事情には疎くなったように思うが、今の物を使い続けることに不満を感じなくなった。全部が全部レッツノートの設計が優れているからというわけではなく、PCの性能が飽和しているからとかSSDの普及とかが後押ししているのだろうけど、PCの先にある情報に没入できる環境になってよい傾向ではある一方で、PCを使うという意義が薄れてPC開発が停滞してスマホとかChromebookみたいなつまらないものがあふれる社会にならないでほしいと思う。

医学部地域枠入試の不正問題に思う

「何でもする」と懇願しておいて、それにありつくことが確定すると手のひらを返して約束を破り、手に入れるものだけ手に入れて応分の負担や義務や返しをしないで逃げて回るという裏切り行為を平然と働く者がいる。

何のことを言っているのかとハッキリ言ってしまうと、医学部の地域枠入試のことである。全国に約80の医学部医学科を擁する大学があり、毎年医師国家試験で8000人から9000人の医師が誕生する。医学部卒後に医師国家試験合格して初めて医師の立場になるのだが、その人材の奪い合いが青田買いのように大学入学時から始まっている。

地域医療の担い手が減少している一方、昔に比べれば一県に1か所は医学部を擁する大学が設置される体制になって40年近く経つ。その一方で、医学部進学者の多くが都市部の進学実績のある高校出身者に偏っていて、成績が悪いから地方の医学部に進学しただけで卒業後は出身地や都市部に戻ってしまい地域内に留まらない実情があることから、地域に義務年限の間は留まらせる制度がいくつかある。地域枠入試はその一つである。

一定の義務年限のあいだは地域内の医療機関で働かせるという手法は昔からあった。栃木県にある自治医科大学がそうであり、大学は各都道府県から拠出される資金で運営されている。自治医科大学の入学者は各県の予算に応じて入学枠が県単位で決まっていて、各県1-2名である。だから大学自体は創立50年ほど経ち相応に卒業生を輩出しているが、県単位での人数はたかがしれていて地域医療の人員の足しにならない。そして、その合格人数ゆえに自治医科大学は自ずと狭き門になり、県内最上位クラスの者が入学することとなる。入試は出身高校の県単位で行われるから、例えば鹿児島県のカタカナの高校とか兵庫県の一文字の高校とか合格者はその県の上位校出身者が多くなる。有名な私立の学校だと他県から受験して越境進学することも多く、年限が終わると出身地に戻ってしまう。そうでなくても、県の代表だけあって相応の能力があるので学位取得などで地域医療からは離脱してしまう。

自治医科大学だけでは人員が増えないので、今度はあちこちの県や自治体が奨学金を支給して受給期間の1.5倍の義務年限に地域医療に拘束するシステムを導入するようになった。これは返済を巡って各地でトラブルになっている。地方の病院で勤務すると都市部よりは報酬が多くなるので、その分を蓄えて繰り上げで奨学金返済をしようとしてもできなかったり、そのシステムから離脱すると何年間かきちんと地域医療に従事していてもその分を斟酌されず全額返済を迫られるためである。

それから地域枠入試である。地域枠入試が自治医科大学自治体の奨学金制度と異なる点は、自治医科大学は入試難易度が高く自治体の奨学金制度は合格者が対象であるが、地域枠入試の場合は大学受験生が対象となる点にある。自治医科大学奨学金同様に在学期間の1.5倍に相当する大体9年くらいの義務年限を設けてこれも地域医療に拘束するかわりに、入試での学力要件が優遇されている。

地域枠入試の背景には、医学部入試が都市部の進学校出身者中心に合格枠を取り合う過当競争になっている現状があげられることはさきほど触れた。そして、その影響は卒後も出ている。卒後の研修医の進路を調査したデータでは大学卒業後から研修終了後にかけて若手医師の半数以上が関東・中部・関西に行ってしまうという実情がある。そこで、地域内の学校で地域医療に取り組む強い意思があるが過当競争するには力があと少し及ばない優秀な生徒を見出して入学させ地域医療に貢献させるという名目で導入された。

ただ、医学部地域枠入試の理念については懐疑的な見方を私はしていた。

医学部頭いいから大体何とかなる理論というやつであり、本当に意思が強くて優秀だったら一般入試で合格するのである。一般入試ならば、入学を優遇したと一生恩着せがましいことを言われながら地域に何年も拘束される必要なく、行きたい地域でしたいことを自由にできる。症例数や将来的な人口減少と地域自治体の衰退も併せて考えると、実際にその地域に居住している間に未来がない土地だという判断をするのは分からなくない。そもそも、肝心の地域住民の子弟が雇用が貧弱な地元にとどまらず他地域に流出しているのだから、この土地終わってるという感覚は正しい。そんな中で、自治体から自由を奪う約束付きの資金を借り入れる必要はなく、進学先で普通の奨学金を受給してもよいし、学費免除申請をしてもよいのである。

もう一つは、結局入学要件を緩めても最低ラインはかなり高いのである。地域枠入試で都市部と地方の教育格差を埋めようにも医学部受験に必要な科目が履修できていなければ入試の段階に進めないので、地方の中でも中心機能に近い地域の代表校の生徒しか地域枠入試は受験できない。職業高校や就職前提の学校向けのカリキュラムでは、理数系教科などで未履修とみなされて受験資格がそもそも無いのである。地域内の代表的な高校は大学教育につなげるための理数系科目をきちんと履修しているので、受験に際しては問題ない。ところが、大抵そういった大学進学の要件を満たしている学校からは伝統的に有名大学へコンスタントに進学しているので、地域枠入試にこだわる必要がない。地域枠入試が全てで他の手段はないと思いつめ、すがりつく必要はない。結局、この地域枠入試制度には、教育格差のなかでは上位だが医学部受験層としては厳しい層がすがりつく。それすら受験に適さない層は難易度ランキング下位の私大医学部やハンガリー医学部などに流れていく。

こうしてガチ受験で正々堂々勝負せず、クソ田舎勤務をするという条件で入学要件を緩めてもらったのに、卒業後に医師免許を取得すると約束を反故にして区域外に逃亡する事例が相次いでいて問題になっている。ペナルティも無いようで、最近までは逃げた者勝ちになっていた。ようやく国の制度として行っている研修医制度で給与が出ないようにしたり、それを警戒して採用側の病院で地域枠入試だったか否かをチェックするようになったようだが、それでも受け入れ先がペナルティ覚悟で擁護に回ったらそれ以上何もできないようになっている。しまいには、医師労組を動員して地域枠制度が人権侵害だと地域勤務縛りをやめさせようと画策する動きまであるのだから呆れる。

クソ田舎勤務が嫌ならば、初めから一般入試で正々堂々受験して合格して入学すればよかったし、同じような立場で自治医科大学に入学したり自治体に限らず民医連などの就職前提での奨学金を受給している学生は全国にたくさんいるのだから、判断材料がない若者を騙して勤務を押し付けている人権侵害であるがごとき言説は通用しない。その制度を利用したのだから約束は守らなければならないのである。そして、地域枠入試制度は国公立大学で主に行われ、受け入れに際しての予算では自治体が関与している公共事業なのであるから、公的な性質に即して約束違反があった場合の厳しい公的懲罰を導入しなければならない。調達の出入り業者ならば指名停止や出入り禁止もある。

ペナルティとして簡単にできるのは退学処分である。医師国家試験は医学部医学科のカリキュラムを終了して卒業要件を満たさなければ受験できないので、在学中は有効な手段である。これが医師国家試験合格後になると大学側の拘束力がなくなるのでペナルティが課しにくくなり、それをいいことに嘘つきが逃亡しているわけだが、そのあとにもいくつかハードルがある。臨床研修修了証が交付されなければ医療者としては診療所の責任者などには一生就くことができない。保険医登録ができないようにすれば日本の医療のほとんどは保険診療なので、医療行為は自由診療しかできなくなる。臨床研修修了証と保険医登録票が無ければ実質日本国内で診療に従事できなくなる。だから、卒後に逃亡した場合でもペナルティを課すことは可能である。

正直、何割かは逃亡する側の気持ちはわからなくない。地元の若者ですらも逃げ出すような、人を大切にしないし余所者の意見を軽んじた末に衰退したクソ田舎の尻拭いのために若い時期ややる気のある時期を犠牲にしなければならないからである。ただ、医学部入学や医師の立場を手に入れたのは悪魔との取引に応じたおかげなのだから、やはり約束通り魂を悪魔に手渡すことこそが筋であるし、ずるをしていい思いをした報いに人生の収支を合わせる行為なのである。