めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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千葉ニュータウンがイチオシのマスコミ提灯記事に思うこと

最近各種webメディアを見ていて、その一例を見た。「住みたい街」ランキング上位に千葉ニュータウンが数年前からしきりに挙がるようになった。千葉ニュータウンは千葉県の内陸部の印西市というところにある。すでに都心から遠く離れた地域の住宅開発は衰退していて、都心居住に回帰する傾向があるのに、郊外の開発した土地が売れ残っていてそれを売り切ろうとするような動きがある。

上野から京成線で高砂から成田空港方面へ分岐する北総鉄道のほぼ終点にある。都心からは電車で1時間程度だが、その電車は各駅停車でも時速110kmという高速運転なので、相応の距離を速度でカバーしてその時間である。都心から1時間も電車に乗っていれば他にも利便性の良い土地はあるから、最近値下げしたとはいえ運賃が割高な北総鉄道を終点近くから利用して通勤・通学する必要は無い。

実際に現地の千葉ニュータウン中央や印西牧の原や印旛日本医大などの駅周辺に行って歩いてみると、空き地が目立つ。それらの土地は割安であるが、北総鉄道の運賃が割高なので通勤通学や外出するたびに通行税のような重い負担がかかる。かといって外部に出なければ住宅地ばかりで職場も学校も無い。自動車で外出しようとすると、北総鉄道に平行している道路しかない。駅と駅の間は原野というか雑木林や畑だらけで、この地域の原風景なのだろう。それらの中に駅前だけ住宅地が広がっている。

まるで大海の中にぽつんと浮かぶ島が点在するようなところなのだが、そのために教育も医療も貧弱である。

印西市などと市政を名乗っていても所詮は北関東の田舎の村役場に近い感覚で運営されているところだから、地元の公立校は教育の質やいじめ問題などで評判が悪く、私立校に行こうとすると長時間の通学の負担を負う必要がある。そもそも、北総鉄道沿線は新規開拓された地域で、元々の市域部は利根川寄りの常磐線支線沿線の側なので、その市域の公立高校への通学は鉄道での通学が困難であるが、まったく配慮されていない。

また、医療面でも病院は駅名にもなっている大学病院くらいしか大きい病院は無く、その大学病院も分院扱いである。救急搬送できる地域にきちんとした病院が無いからか、ヘリコプターでの搬送が盛んである。そして、何かしらの理由で福祉が必要となった場合、障害者福祉などに対応できる施設や体制が貧弱である。それはもともとが村役場レベルの零細自治体だからだし、その零細自治体の中心市街地から北総鉄道沿線が大きく外れるという事情もからんでいる。

最近ではデータセンターの置き場所としても適地という絶賛記事まで出ている。地形が安定している地域ということは、水辺特有の交通の利便性や水利の良さといった地理的なメリットからほど遠い歴史を歩んできたということである。高齢化社会が進展して、人口が減少して、無理に郊外に居住しなくてもよくなった時に真っ先にお荷物になる地域である。

しきりにマスコミが住みたい街だと絶賛する一方で、表面上こぎれいな住宅団地を装っている合間合間のところに、元々の北関東の片田舎の零細自治体の弱い面が見え隠れしている。土地を売り切ればそれでよいので、マスコミは居住のデメリットを報じない。マスコミの主たる使命は事実の中立な報道ではないから、特定の党派に偏った報道を平気で行い、それを公共の電波でたれ流したり、大多数の出版数で流通させるという立場を悪用して好き放題を尽くしているわけだが、本当の使命は物売りである。価値の無いものでも絶賛して売りつけたら後は購入した側の自己責任で終わる物売りである。