めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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中国人の爆買いブームの脆さ

軍神・広瀬中佐の銅像で有名な神田の万世橋。丁度秋葉原地区の南側の入り口にあたる場所である。そこに通行をふさぐように常時数台の観光バスが駐車している。バスから降りてくるのは、やや派手目に着飾った観光客だ。彼らは日本人ではない。それは雰囲気や言語からわかる。中国からの観光客である。秋葉原には観光地としての見るものは無いので、おそらく物品の買い付けのために日程が設定されているのだろう。

買い付けのための数時間はその場所に駐車していて、観光客はその間は買い物をしていたり、戻ってきて他の仲間を待ったり、公共の道路を占拠して好き放題に使っている。日程の一部として長時間の立ち寄りを設定しているのであれば、正式な駐車場に駐車すればよいのに、その手間すら惜しんでいる。そして、地元の警察(万世橋警察署?)もバスをどかす気配がなく、なぜか黙認している。警察が強く出てこないのを見越してか、実質万世橋は中国人専用の駐車場になっている。

彼らの行動は「爆買い」と呼ばれる。買い占めて、自国に持って帰り、転売する。日本だと知人に物を売りつけると、売値の妥当性や販売後に物品にトラブルが起こった場合の対応などで関係にしこりを残しそうだが、中国では問題が無いのだろう。日本で物を大量に買い付けて、自国で日本で買ったという証拠を示して高価で販売するのだという。買った物品の中にはかなりの率で中国製が含まれていると思うのだが、日本向け製品は質が高いなどと謎の理由をつけて大量買い付け・高値転売されるという。

この「爆買い」と呼ばれる行動が、日本の国内産業の業績回復につながると一部のメディアが煽っている。製造設備を増設したり、生産を増やせば景気回復になると言いたいらしい。企業の側の対応は、買占めのせいで国内供給が足りていないところは生産増強の動きがあるが、大規模に工場新設してまで爆買いに備える企業は少なそうである。

中国が経済発展をしている、日本よりも富裕層や彼らの財産額が多いというのは事実なのかもしれない。しかし、爆買い理論から言えば自国内で自国民に粗悪品をつかませて富を得ている者が必ずおり、それは社会の指導層や富裕層に該当し、その社会の一握りの代表が海外旅行をして、自分だけは良質な物品やサービスの恩恵に浴そうとしている二重基準の構図がある。

いわば中国人が同じ中国人をだます構図であり、低賃金粗悪品製造で搾取して経済発展をしたものの、その方式は現在の政権の汚職追放の方針と相容れない。よってこの構図が今後何年続くかは不明である。現に、人件費上昇を理由に中国撤退する日本企業が相次いでいる。

また、現在は日中間には国境があるために、日本で物品を購入後には中国の税関を通る必要がある。中国政府が通常の貿易の手段ではない形での海外からの物資の大量輸入をいつまで看過するか、それは中国政府次第である。ある時になって、いつものように通関しない事態が起こると、その話が広まる。そうすると日本に遠征して爆買いという流れは終息する。この規制はいつ始まってもおかしくない。そして、中国政府としての意向もはっきりしない中で、これを商機だと捉えて拡大路線をとるには先物並みのリスクがある。恐らく、日本の商工業者が、「あれ、中国人の爆買いが突然やんだぞ・・・?」と気づくレベルで理由も知らされず突然、ひっそりと爆買いブームは終了するだろう。

さらに、中国本国の製造業が自国向けに質の高い製品を供給するようになれば、それは中国企業にとっての商機であるし、客はそちらに流れるのは時間の問題だ。Apple製品は中国製だが、粗悪品だという話は聞かない。だから、中国の工業製品の質は必ずしも粗悪ではない。中国製品は日本にも大量に輸出されており、日本製造の製品の中の中国製部品の比率もカウントすると純日本国産率は低い。値ごろな製品から高級品まで、そのような製品が多数ある中で、中国製品が日本向けではないからと言って品質が劣るという根拠がない。一部の抱腹ものの粗悪品だけにクローズアップして騒ぎすぎである。

現在、訪日中国人が日本製品を大量に買い付ける行動は、迷信や噂レベルの話を信じた者が行っている行為であり、人口の多さや富裕層という客層から大きな消費行動に見え、背後に巨大なマーケットがある商機に見えるかもしれないが、所詮はデマに踊らされている一時的な迷走行動が大人数で起こっただけであり、持続性には疑問がある。噂の真相が分かったとたんに、異常を察知した中国政府が動いたとたんに、熱狂していた消費が冷え込むことになる。梯子を外された後には設備投資や過剰生産の無駄だけが残る。