横浜の新杉田と金沢八景を結ぶ新交通システム「シーサイドライン」が新杉田駅構内で逆走して車止めに衝突し怪我人多数というニュースを見た。
シーサイドラインなど横浜南部の海沿いに居住する一部住民しか利用しない、運賃も高い赤字路線であるが、海の公園や称名寺、伊藤博文別邸跡などの史跡巡りに便利である。しかも、途中に八景島シーパラダイスや横浜市立大学医学部附属病院などがあり、バスよりは輸送効率の良いシーサイドラインありきで誘致されたとしか思えない面がある。
また、微妙にアクセスの悪い横浜南部の京急沿線と関内方面へのアクセス経路としての役割もある。普通なら上大岡で市営地下鉄だが、事故などで利用できないときは新杉田経由で行ける。
シーサイドラインは実際に乗車してみると設備の古さが目につく。高架に苔の固まりや草が生えていたり、得体のしれない水たまりができていたり、駅も近未来を意識したのだろうが、今になると古くささを感じるデザインである。
古いシステムで自動運転だからか、途中駅で折り返して一部区間で運転再開するような運用ができていない。運転できても再度暴走する可能性がつきまとう。手動運転するには乗務員が絶対数おらず、区間ごとの運転のノウハウも無い。
開業以後無事故だったことや、これまでの出発時の車両と中央制御のやり取りに異常がなかったという報道を見ていると、車両メンテナンス時の簡単なミスが原因なのだろうが、一見生活動線から外れた場所を通っていて縁遠そうな路線でも重要施設へのアクセスが出来なくなったり、同様の新交通システムへの懸念が生じたり、案外大きな問題である。
