めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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民泊と空き家抑制政策

有名な経済紙に「中古で買い手がつかず、高齢化が進む郊外の住宅地」として登場する住宅地がある。

横浜市栄区の庄戸というところだ。栄区自体を知らない人が多いだろう。横浜市の戸塚と大船の間にある、ほぼ生活圏としては鎌倉市大船地区の一部になっているところである。JRの駅は本郷台という裏手が山になっている根岸線の駅しかない。庄戸地区はもっと山の方にある。それこそ、朝比奈切通というのがあるが、それに近い。鎌倉時代の交通の難所である。そんなところに居住して通勤するのだから、昔の人が庄戸地区のライフスタイルを見たら驚くだろう。

ちなみに、庄戸地区は山の中にあるが、麓のJRの駅との間にバス路線がある。バスを利用すると庶民的な雰囲気のJR本郷台駅・・・ではなく、ややハイクラスなイメージのある港南台駅のほうに接続している。本郷台には直接行くことが出来ない。この辺りも、開発された時代の見栄のようなものがあるのだろう。地価の安めの所に建てながらも、ステータスの高い土地と同じ感覚で暮らしたいという見栄である。庄戸地区は宅地の面積が大きめで、ストリートビューで見ていると暖炉の煙突のある家が多い。

そんなところなので、住人が高齢化して交通の利便性の良い所に転居するために家を売りに出しても買い手がつかないのだそうだ。交通が不便であるし、土地の面積が大きくて築年の割に高価な買い物になったり、事情があるのだろう。子供を育てるには学校の問題があるが、地区内の中学校は閉校したようだ。政令市なのに閉校である。子供は区内の離れた学校に行くか、私立に行かせなければならない。しかも、近々高速道路の工事で辺鄙だが静かという環境も崩れる予定である。

ただ、こんな土地でも活用方法はある。それは、民泊専用の街にすることである。最近ではマンションの部屋を購入して、そこに住民ではない不特定多数の第三者が出入りして、特にセキュリティ対策されているところだと事実上入口のパスコードが漏洩し放題状態になっているために、元々の住民との間でトラブルになる場合があるようだ。

その点、栄区庄戸のような買い手のつかない住宅地は、生活をするには利便性が悪いかもしれないが、滞在するには面積が日本の平均的な家屋よりも広かったり、住居設備も豪華だったりで外国人向けにはちょうど良い。また、元々の住民の生活動線からはやや離れたところにあるうえに、バス路線を通せるだけの道路の広さがあるので、地域住民とトラブルにならないように観光客を案内するにはちょうど良い。しかも、横浜市街地や鎌倉に近い場所であり、近々整備される圏央道第二東名に接続する高速道路を利用すれば県西部の箱根や富士方面へのアクセスも良くなる。

元々常識で考えて居住には適さないようなところに、住宅を持ちたいという願望の為だけに無理矢理整備された住宅地の処分に頭を抱えている行政も、一括で地区ごと買い上げたり立ち退かせて民泊用の村として転換してはどうだろうか。新興住宅地は年齢が同じ程度の住民が集まりやすいので、相続に伴う空き家対策が問題になるタイミングでの一括立ち退きは行いやすい。

自分の財産というものに固執するのも一つの生き方かもしれないが、そこに水道や電気を通すにもコストはかかっている。多くの部分を税金や補助金で補われているので、その負担の大きさに気付かないだけだ。実費負担になったらさっさと家をたたんで便利なところに移住するだろう。政府は空き家の抑制を政策として推進するらしい。具体的な利用策が定まらないままで、建物を手放すこともせずに解体を選んだ場合、過疎が進んでいる都市では一層歯が抜けたように家が消えて、過疎を具体的に感じるようになるだろう。