めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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二股温泉の謎

某カプセルホテルに宿泊した。そうしたら、そこの浴場が「二股温泉」を導入したとアピールしていた。大抵この種のカプセルホテルはサウナ併設で、浴場の浴槽は冷水と温水と別れているのだが、どうやら温水部分の浴槽が温泉導入らしい。何回か宿泊したことのある施設だが、ここは元々普通の水道水を沸かした浴場であり、自然に温泉が湧いているわけではない。

よく見ると、浴槽にお湯が注いでいる部分の上の所に茶色の小石が詰まった透明の水槽のようなものがあり、上からお湯が注いでドリップ式のコーヒーか、はたまた茶こしのようにお湯が下の注ぎ口から出てくる作りになっている。どうやら、その石を通過したお湯を以って温泉を標榜しているようだ。これくらいで温泉成分が抽出されるのか、実際の浴槽の水の成分を測定したうえで温泉を謳っているのか、そもそも温泉導入と標榜してよいのか、湯の華の部分の衛生面は大丈夫か、色々疑問に思った。実際入浴すると体は温まる。だが、夏場にお湯が42度もあれば温泉関係なく十分温まるだろう。

ところで、この二股温泉は別のトピックで注目していた。知っている人は知っていると思うが、二股温泉は北海道の長万部にある。場所柄、秘境の一軒宿の言い方がふさわしいような温泉である。温泉成分が石灰岩の茶色の湯の華を形成しており、その石灰岩でドームを作って中に浴場を設置するという特色のあるところだったという。この二股温泉のオーナーが2000年代に入って変わり、秘湯の雰囲気の無いこぎれいな普通の入浴施設に改築してしまう。新しいオーナーについては、あちこちのサイトを見ていると札幌のサラ金会社という書き方をしているところもあるが、2000年代後半ごろには新宿に拠点のある三和ファイナンスというサラ金会社が自社の施設として新宿の飛鳥ホテルとともにPRしていた。ところが、2011年に過払い金問題で三和ファイナンスは破産・廃業する。新宿の飛鳥ホテルも廃業・解体されて現存していない。

オーナーの破産にもかかわらず、三和ファイナンス所有物件だったはずの二股ラジウム温泉はその後も営業を続けている。そして、その頃から全国に二股温泉を標榜した入浴施設が増えているのである。所有者が変わった可能性があるわけだが、まず二股温泉なるものの供給形式が源泉を搬送するのではなく、湯の華のろ過システムであることが分かったので、この製造会社を調べてみると関東地方にある業者の製造と分かった。この業者の製品は入浴関係の機器ということになっているのだが、各種ラインナップが多岐にわたっているように見えて、全て例の二股温泉関連の温泉抽出(?)設備に帰結している。全国の二股温泉の機器はこの業者の製造とみられる。この業者が現在の二股温泉のオーナーなのか、それは不明であるが、少なくとも温泉製造機の湯の華の出所は前のオーナーチェンジの時に解体した石灰岩ドームの残骸らしいので、何らかの権利は有していると思われる。

この二股温泉システムには今一つ理解できない部分がある。二股温泉の石灰ドームは北海道の天然記念物に指定されており、今後新規の開発はできないものと思われる。したがって、温泉システムの機器に使用する湯の華は解体した温泉施設の石灰ドームのものを使用するか、現在の温泉施設を稼働していると沈着する結石を使用するしかないものと考えられる。従って、湯の華の使用可能な量には上限があって、それを超える温泉製造機の販売はできなくなる。もちろん、現在稼働中の設備の湯の華から成分が抽出しきってしまい、新たなものを供給する必要もいずれ出てくるだろう。有限な湯の華の石灰岩に対して、設備の供給は過多にならないのか。それでは温泉製造機のメーカーはビジネスが存続できないのではないか。本当に、その茶色の小石は湯の華なのか。

ネットを見ると二股温泉の湯の華は普通に販売されているので、多分供給に困らないほどに得る手段があるのだろう。件の浴場で見かけた小石状のものは「4号」という名称らしい。それほどまでに結石したものも安定供給できるようだ。だから、例の小石は本物の湯の華なのだろうし、機器の製造が頭打ちになることもないのだろう。ただ、この湯の華の製造会社として書かれている「水の素」なる、三和ファイナンス・温泉機器製造会社に次ぐ第三の会社が出てきて、いよいよ二股温泉のオーナーが何者か謎になってきた。

http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/kouhyou/05.3/050302.html

この水の素という会社は二股温泉の旅館の場所に存在していることになっており、三和ファイナンス時代に公正取引委員会からの指導を受けている。この時代から三和ファイナンス破たん後の現在に至っても存続している謎の会社。温泉の公式サイトでは、体験談と称して癌が治ったなどの医学的根拠の無い記述を各種疾患名を明確に名指しして掲載している。今現在も全国の入浴施設で二股温泉のお湯なるものが循環して出されている背後で、怪しい人達が健康ビジネスに精を出している。

あれだけ日本全国に温泉製造機や湯の華の通販が行き渡っているのだから、全国の医学的なデーターを集計して日本人の有病率が有意に改善する現象が起こっていたら、実際効果のある温泉なのかもね。そうでなかったら?お察しください。