めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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漂流家族、その後

今から5年ほど前に話題になった「漂流家族」というドキュメンタリーがあった。

埼玉県で暮らしていた子持ち家族が、お金の使い方がルーズで住んでいた住居から出ていかなければならなかったために、北海道の過疎の自治体が募集していた移住事業に経済的事情を伏せて応募する(この事情は途中から露見して、最初は知らないままで番組は進行する)。

北海道東部という日本の隅っこのような場所。外部からの輸送に依存する生活の最寄品は物価高で、しかも地元の雇用も乏しい。しかし、一家の父親は大したスキルは無いのに年だけ取って、年長者のプライドで職が長続きしない。移住して3年経とうとしているのに、移住事業の条件だった住居建設の自己資金確保のめどが立たない。そこで、地域の移住者の世話役をしている地元の牧場主に頼み、用立ててもらう。

大きな家は建つが、そこに住むものはこれまで通り。職場でトラブルを起こして居られなくなる。何を思ったか、埼玉に戻って住居の返済資金をねん出すると称して一家で戻ってしまう。二つ住居を持つだけでも負担なはずなのに、一軒家の借家。そして一家総出で子供の北海道の高校や職場をやめさせてまで働かせる。

ところが、得た賃金は自分たちの消費で使い尽くして住居の資金の返済をしていなかったことが、牧場主が突然訪問してきたことで露見する。そこから、そもそも北海道に移住した理由自体がずさんな経済的事情だったことも露呈してくる。

当時、このドキュメンタリーの放送を見た人たちの感想は一家に対して批判的だったし、牧場主に対して同情的だった。

2014年、その牧場主は件の物件を不良債権としていまだに抱えているようだ。浜頓別の見覚えのある家が地元の不動産会社のHPに掲載されている。

http://kodate.home4u.jp/detail.html?id=1204210&tab=1

どうみてもあの家だ。不便で条件の悪い場所なのだが、大見得を切って建てたためか強気の価格だ。無理やり移住を促さないと住民が定着しないような場所なので、売主には悪いが、今後も一般の不動産市場では売れることがないだろう。ましてや、全国放送されたテレビ番組でケチの付いた曰くつき物件である。

ただ、売れる途は残っているのではないか。

最近一部で流行している、田舎暮らしシェアハウスを運営するような人たちへの場所提供だ。個室も十分数あるし、皆が集まる居間も広く確保されている。ネット回線くらいは確保できるだろう。自動車があればJRの駅まで1時間程度、稚内空港が1時間半くらい。東京まで4時間で行ける。この種の田舎暮らしシェアハウスの住人は、元々地域にある雇用のほかに独自の仕事を持ち込むので、移住して現地で働くという自治体の望む移住の形に合致しやすい。

漂流家族の放送当時に牧場主に同情した人たちは、ぜひ物件購入という形で応えてあげてほしい。自分が居住しなくてもよい。どうすればあの番組のようにならなかったか、その対案を実行してみてほしい。