めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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田舎暮らしに憧れる人必見の映画「裸の島」

田舎暮らしに憧れる人なら必見の映画がある。新藤兼人監督の「裸の島」だ。

戦後の食糧難の時期に瀬戸内海の無人島に一家が入職する。井戸もなく平地もない島で斜面を畑にして家は頂上の方に建て、水を船で運び畑にまく。ほぼ自給自足で、魚が釣れたらそれを売り、必要な品物の購入資金にする。ある時、子供が病気にかかり手遅れで死んでしまう。妻が自暴自棄になるが、他に行く当てもなく再び同じ日常の繰り返しが始まる。映画には一切セリフは入らない。

田舎暮らしに憧れる人たちのモデルケースになっている雑誌の企画や一部ブロガーの生活をみていると、お飾り感があるものの生活実態を感じない。物品購入もネット販売依存であり、田舎暮らししているはずなのに、雑誌などで扱われる東京的な都市的なライフスタイルを必死で模倣している。

良く言えば、ネットがあれば地域格差は気にならないとなるのだろうが、現実的に見るとイオンの売り場のようである。彼らと同程度の経済水準の本当の都民の生活実態からも乖離していて、メディアが配信する表面的な部分だけ切り取ったライフスタイルを模倣して、イオンの売り場の展示品のようになっている。そんな生活なら、田舎暮らししている地域のイオンで物品を買い込めば実現する。

また、田舎暮らしの内容が現実に立脚していない。もともとその土地で暮らしている、ある意味本当の田舎暮らしをしている地域住民は新規投資不要の自前の農地で効率重視で農薬や機械を使って農業をしているのに収支はイマイチだったり、就労しても地方の企業では都内の半分もいかない収入にしかならない。

そこで、ネットで仕事とかビットコインで収益とか言い出すのであれば、買い物からライフスタイルから仕事からネット経由で都会の方の様子をたえず伺っており、はじめから都市部に住めばよい。

田舎暮らしもなにも、今後日本全体の人口が減少すれば高齢化率の高い僻地は高齢者がいなくなって市場崩壊したり、地域の機能が維持できなくなる。

その時に元々の地域住民よりは移住者の方が離村の抵抗は低いだろうが、住んでいる物件を処分出来ないとか、住み続けても加齢で罹患しやすくなる病気への治療や緊急時の救急搬送が現実的でなくなって手遅れになる。

人口減少は全国的問題であり、少しばかりイベントをしたりフリーターモドキの若者を集めればよいというものではない。行政も教育も医療もインフラ維持もかかっている問題である。

田舎暮らしに憧れる者からすれば、インフラもコミュニティも維持されて当たり前で、今後も維持されると思うものだろう。実際はそれが永続的ではなく、ある時終焉を迎えたら東京的ライフスタイルの表面的模倣をする余裕も無くアウトドア同然の生活が待っていることを覚悟して移住しなければならない。