今も流行しているかどうか不明だが、ひところ大はやりだったものがある。
ノマドワーカー、車中泊、ミニマリストなどである。皆、今から5年くらい前だったと思うが、同時期に流行した。 これらは既存の社会の枠組みを否定する新しいライフスタイルのように見えて、その実は既存の社会に依存しきったライフスタイルである。
持っている者がいて、それを借りるという前提がないと成り立たない。持っている者は旧体制のライフスタイルだからこそ、所有の概念に基づいて不要と批判される物を持っている。
仕事場や宿泊場のスペース、それに加えて机椅子や滞在に必要な電気や水道やバストイレのようなものが提供されること。100円とかで簡単に物が使い捨て使用できるとか、嫌な顔せずに必要な時に物を貸してくれる周囲の優しい人がいること。
必要な物の所有者が貸してくれる善意が自分のところに回ってくるからこそ利用できている不安定な立場なのに、他のライフスタイルを貶めてまで必死で画期的な生活をしているかのようなアピールをするのは正気ではない。所有がオワコンなら、そんな相手の物を当てにしなくて良い。
カフェで周囲の音をヘッドホンで遮断して仕事するなら、自宅で仕事すれば場所取りも長時間占有のトラブルも仕事内容の情報漏洩リスクも無い。毎日座席確保すら担保されないなら、自宅に確保すればいい。自動車を停める駐車場を寝泊まりスペースに使い停車を妨げるなら、オートキャンプ場に行けば良い。
相応なコスト負担を惜しむ者は、そのうち正規にコストを負担している周囲から排除される。全面的に周囲に依存している乞食と大して変わらない身の上なのに、それを意識の高いライフスタイルの様に言ってしまうのは無理がありすぎる。