めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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インバウンドマーケティングに騙されるな

インバウンドなるキーワードでしきりに外国人観光客を取り込む経営なるものを一部勢力が煽っている。国内観光に「付加価値」を付けて単価を上げる口実にし、外国人観光客を収益源にしようという企みである。爆買騒動のときは設備投資を企業にさせるよう煽り、今度は体験を売るという名目で様々なサービスへの付加価値という名目をつけさせようとしている。

しかし、その主張を否定するような光景をいくつか見た。

スーパーの入り口の広場になっているようなところで、外国人観光客の集団がたむろして店内で購入した総菜を食べていた。また、そのスーパーの店内では観光客とみられる外国人が酒を購入していた。また、都内の小諸そばの店内は外国人観光客がたむろしていて、数百円の食事で何時間も居留まって席が空かない状態だった。

ただでさえ人件費が最低賃金で酷使されているとされる日本のサービス業、飲食店の料金は値ごろなところが多い。しかも日本ではチップすら不要だ。それでも、従業員に払う報酬の部分を出し惜しんだ結果がスーパーの総菜や小諸そばなのだろう。

宿泊施設だってカプセルホテルや日雇い向けの簡易宿泊所は外国人観光客で盛況だ。かと言って、一般のビジネスホテルが外国人観光客の予約対応とか需要増を理由にして値上げしまくって予約も取れなくなっている。

実際はインバウンドを煽れば煽るほど誰からも見向きもされず国内が疲弊して期待外れな結果になるのではないだろうか。

立ち食いそば屋にせよビジネスホテルにせよ、コスト削減の結果として内容が共通化されている。チェーン店である無し関係なく、どこもシステムが似ていて店舗のローカルルールに対応しなくてよく、お金を払うだけで最低限必要なサービスを受けられる。シンプルな仕組みなので外国語対応もシンプルで済み、コスト削減のお陰で価格も値ごろなので尚更外国人観光客を取り込む。

かくして利益を上げるのは地域の名物を販売する店ではなく、全国チェーン店で店員の時給を最低賃金に抑えている企業ばかりである。地方のロードサイドで全国展開のチェーン店ばかりな辺り、元からの地域住民ですら店舗ごとのローカルルールや質の格差にウンザリしているのだろうから、地域に元からある店舗は外国人も地域住民も取り込めず、消えていく。観光客からの単価は上がらず、収益はすべてチェーン店本部のある地域へ移転される。

宿泊や食事という行為に何の付加価値も求めていない者、あるいは日本の日常生活の体験をしたいと思う者は今後もそういった場へ進出してくるだろう。日本らしさの体験は、押し付けられなくても口コミなり自分達の探索なりで彼らが自ら発見していく。少なくとも、その場はインバウンド需要で大騒ぎしている連中とは無縁の場である。

インバウンドマーケティングを標榜するコンサルタント連中が押し付ける謎のイベントなど見向きもされない。また、地元の昔からの名産品も見向きもされない。食べ物は日持ちせず嗜好に合わない上にバックパッカーには荷物になる。得体の知れない民芸品も生活の場に置くには場違いな物ばかりである。日本人ですら浮世絵柄の和傘など土産物でもらっても困るだろう。

インバウンドマーケティングの専門家が爆買を煽っていたのが、体験重視とか言い出しているのは、観光地で外国人に物が売れないし、そもそも外国人の需要の無い物しか無い事に気付いたが、新たに売れる物を創造する発想も無いからだろう。

結果インバウンド需要なるものを当て込んだ各種施策が空振りに終わっている一方で、観光客と日常生活者の動線が重なる現象があちこちで見られるようになっている。それは元々の国内の需要や地域住民の生活を無視した動向であるから、様々な場で元々の日本人は暮らしにくくなるだろうし、外国人観光客は現地住民とのトラブルを一層抱えていくことになるだろう。