めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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男性差別のCM演出の背景事情

近頃のTVの演出を見ていると気になるものがある。弱者の憂さ晴らし的な演出が増えたと思う。

例えば、女性を差別するような内容を放送するとたちまち問題になるのに、逆に男性を馬鹿にして差別する内容のCMの演出は平気で放送される。ネットを見ていると、「これが男女立場が逆だと問題になっている」などと指摘されていて、もっともな意見である。あるいは、以前から匿名掲示板で書かれていた、「スカッとする復讐」系の再現ドラマを流す番組がある。オチもネットの掲示板同様に身勝手な者が因果応報的に最後はひどい目に遭うという流れで作られているが、ネットの掲示板の書き込みそのままで流すと放送倫理で問題になるからか、悪い側にも分があるように作られている。

この種の番組や演出が増えると警戒するべきなのは、放送の陰で現実に起こっている差別や社会格差を覆い隠す目的があるのではないかということだ。放送を見てどれだけ大騒ぎして叩こうが、憂さ晴らししたつもりになろうが現実は変わっていないのに、そのことを忘れさせて引き続き弱者を弱い立場のままに置いて収奪を続けることができる。そのためのガス抜きとして立場の強い側が設けている場に過ぎないのではないかということだ。

例えば、本当に男女差別を無くそうとしているのであれば、複数交際している男性を「保険」呼ばわりする内容とか、落とし物を拾ってくれた不細工な男性を馬鹿にするようなCM演出を見て、自分たちが強くなったような錯覚を抱く必要はない。例えば出産のときはどうしても女性しか分娩できないとか、性別固有の問題でハンデが出ることはフェアにして、それ以外では男女の能力差が無いことを示せばよい。その努力は怠って、くだらないCMの演出を見て憂さ晴らししているようではいつまで経っても軽く扱われるだろう。あるいは、不当な行いで利得を得ている者が許せないならば、それができないような措置を講じればよい。それをしないで、やりたい放題を遠巻きに眺めて自分は知らんぷりし、一方では不満をスカッとした復讐系の番組を見て解消したつもりになっても現実は変わらない。

似たようなことは市民団体にも言える。ひところ言われた「格差社会」や「ブラック企業」でトヨタワタミばかりが叩かれた。そこで働く社員や非正規雇用者以下の労働条件の中小企業は沢山あるのに、市民団体は大企業の資本家が敵なので中小企業は見て見ぬふりした。勤務実態のない家族を社員扱いして給与を支払ったり、保養所とか社用車の名目で経営者一族が使うための贅沢品が買われていようが放置した。また、非正規雇用であえぐ労働者に対して同情的な内容を放送し、雇用する派遣会社や大企業を批判する一方で、資質の低さや企業側が雇用をためらう様な人間性があろうとも触れなかった。自分たちの問題を改善する気はなくて都合の良い対応を社会に求める者の層は厚く、弱者を虐げる大企業を叩くという構図を作ったほうが支持してくれるからだ。あの時に叩きに加わった者は、景気がどれだけ好転しようが社会構造が変化しようが、肝心の自分自身に変化がないので結局時代に取り残されてしまうというわけである。

TVが垂れ流す憂さ晴らし系の演出で自分の不満を解消したつもりになっている間は、本当に不満は解消しない。自分に必要なことは何か、何をすべきか、自分で方針を立てて実行しない限りは現状のままが続く。