めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

ADs

「お金がかからない大学」のうさんくささ

よく、大学の学費が高いという話題が出てくると、某掲示板辺りに定形の反論が出てくる。それは、お金のかからない大学に行けばよいというものだ。具体的には、防衛大や防衛医大自治医大といった学校の名前が出される。正直、このような書き込みをしているのは大学受験とは無縁の生き方をしてきた世間知らずではないだろうか。それどころか、就労経験すらないかもしれない。

まず、この種の公的機関の職業大学校は入学の難易度が高い。防衛医大自治医大は学年で100人程度であり、自治医大は県ごとに合格者数の割り当てがある。要するに、どちらの大学も各県の代表レベルの学力の者が2名ずつほど入学するような学校であるし、自治医大に至っては全国的には優秀でも、その県に灘高校のような有名な進学校があるならば相対的に順位が繰り下がって結果不合格という現象も起こる。

要するに、お金がかからないからといって受験しても、簡単には合格できない。しかも、それだけの学校に合格する学力をつけるのに、どれだけの費用が掛かるのだろう。お金のかからない大学なるものの枠は、教育費を潤沢にかけた家庭の子息の間での争奪戦になっているのが現実である。もちろん、お金が無いからと言って入学を優遇してくれるような甘さは無い。自学で優秀者になることは可能かもしれないが、それだけの力がある者は無理をして職業系の大学校を受験する理由が無い。いくらでも奨学金の枠が空いている。昨今では奨学金の返済能力が無い若者が問題化しているが、お金のかからない大学なるものの理論同様に、職業系の大学校が卒業後に求める数年間の就労の義務と同じような、一定期間働けば返済免除になるような奨学金が医学部にはあるそうだ。

そして、職業への適性の問題がある。この種の「お金がかからない大学校」の多くは特定の職業に直結するところが多い。だから、その職を希望しないのに進学する意味は無い。明らかに適性が無い場合も同様だ。職業適性があるということは、入学選考時に学力以外に職業適性も選抜要件になっている可能性があり、お金が無くて学力があっても入学できない場合もありうるわけだ。勿論、仕事を選ぶなど贅沢だという反論も出てくるだろうが、この種の大学を卒業して就労するということは、いきなりその組織の幹部クラスとしての振る舞いが求められる。防衛大学なら士官であるし、医科大学ならば専門家として患者に指導し、コメディカルを統率する立場になる。流石に幹部になるには大抵の組織で適性を問うだろう。単純に作業を毎日反復するのとは違う。

「お金がかからない大学」なる話が出る度に、その話が如何に現実と乖離していて地に足がついていないことかと思うのは私だけではないと思う。大学受験をしたことがあったり、偏差値一覧の上位に掲載されている大学に合格することが如何に大変かを知っているならば、そのような言葉は出てこないと思う。そして、経済的に困窮していて、この種のネットで定期的に書かれる主張に何かしら希望を抱いているのであれば、同じネットでもう少しそれらの学校の現実を調べてはどうかと思う。