めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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東北医科薬科大学の偏差値とか学費とか言う前に・・・

東北薬科大学が医学部を新設して「東北医科薬科大」の名称になる一方、医学部新設に対して批判や反対意見があり、私も思うところを昨年9月に書いた。この話題についてはたった一つしかエントリが無いにもかかわらず多数のアクセスをいただいた。特に、入試前後には偏差値や出願数、倍率、最低合格点が書かれているとでも思ったのか、受験生と思しきアクセスもあった。仙台周辺の医療関係者や大学関係者とおぼしきアクセスだと、教授についての人事関係を知りたい模様だった。一方で受験生だと学費や倍率や偏差値を知りたい模様だった。概ね、この二つの層に分かれたアクセスが多かった。

結局、東北医科薬科大は様々な懸念を押し切って開学してしまったし、教授などのポストも概ね決まって医療体制はスタートしているだろうし、今は入試も終わって本年度の出願数、入試の倍率、合格者偏差値などの受験関係のデータも一通り出そろっていることと思う。勿論、学費についても新入生は大学が主張している奨学金枠から自己負担枠に至るまで適用されている。

人事の話は知ったことではないが、入試関係に関してみれば大騒ぎして注目されたほどには優秀な層は集まらなかったようだ。基本的に新設したばかりの大学や学部の一期生の偏差値は高くなりがちな傾向なのだそうだが、あちこちで出回っている偏差値データを見ているとそれほど高いものではない。それこそ1970年代から新設された私立医科大学と比較しても下位層である。

ただ、これにはからくりがある。東北薬科大学が標榜している一定期間地域医療に従事することで免除されるという奨学金枠を利用する層は成績が高く、そうでない層は成績が低くても入学できるという事情も関係していると思われる。これは、入試日程を普通の日と国公立大学の入試日と重ねた日で設定する私立医大では後者の方が低い成績で入学できるのと似ている。だから、東北医科薬科大学に地域医療の奨学金枠を利用して入学したいならば、世間に出回っている偏差値よりは高い成績で受験する必要があるということだ。

ただ、そこまで頑張ってまで東北医科薬科大学にこだわる必要があるかというと、それは疑問である。医学部受験生を多く輩出しているのは都市部の進学校がほとんどであり、彼らが地方に「都落ち」して進学し、卒業後は出身地に戻るというパターンが多い。そうすると、わざわざ仙台まで進学して大学の学費と生活費の負担をするのであれば、通える範囲内の私大医学部でも同等の自己負担で済むところはある。全額自己負担だとすれば、東京近郊にも生活費分の負担が不要な同等の入試レベルの私大医学部はある。

そうはいっても、東北医科薬科大学奨学金枠を利用すれば少ない自己負担で行けるという意見が出てくるだろう。問題は、一番手厚い奨学金枠で入学できる層は、入試難易度の低い国公立大学医学部に入学できるものと思われる。東北医科薬科大学奨学金を貰っても自己負担が6年間在学で400万円から800万円で、結局国公立大学の自己負担額を上回ってしまう。そうすると、国公立大学でも同様の地域医療奨学金育英会資金を利用することによって、東北医科薬科大学などよりもはるかに低い自己負担率で進学できる。だから、お金の問題を気にするのであれば東北医科薬科大学固執しなくても、全国に国公立大学医学部がある。

それでも、東北地区での地域医療に貢献したいという思いがある受験生も多少はいるだろう。地域医療に固執するのであれば、仙台なら東北大学があるし、秋田大学山形大学弘前大学でもよいだろう。私立には岩手医科大学もある。これらの大学は東北大学以外は入試での難易度はそれほど高くないし、学費負担は国公立大学のそれである。そして、大半の受験生が都市部からやってきて卒後出身地に戻ってしまうので、地域医療の人材が恒常的に不足している。だから、東北医科薬科大学にこだわらなくても、それらの大学を卒業して大学所在地にとどまればよいではないか。

以前に私がブログに書いた内容を検索して閲覧に来ている受験生は、もしかしたら「どこでもいいから医学部に入学さえできればよい」という考えで見に来ているのかもしれないが、そこまで思いつめる前に冷静に考えてほしいのだ。考えれば考えるほど、東北医科薬科大学に進学することにこだわる理由が希薄にならないだろうか。冷静になれたら、本当に東北医科薬科大学に行かなければだめだと思うのか、自分自身に問い直してみてほしいのだ。それ以外の選択肢が見えて来たら、もしかしたら東北医科薬科大学に無理矢理受験して進学するよりも幸せな道が見えてくると思う。