めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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コンビニ難民どころではない話

「コンビニ難民」というキーワードがあって、その辺にあって便利だからコンビニじゃないのかと思ったが、今やそこすら行けない者が出現しているという。体が衰えて遠方どころか近所の店にすら行けずに買い物できない高齢者が増えているためだ。

このニュースで思い出したのが、ある地方の病院の話だ。丘陵地の斜面にはりつくように建つ住宅地の中に大病院があった。入り口は斜面の麓の道路からギリギリ対面通行できる狭い道路一本だけ。そこを路線バスも救急車も通る。他に迂回路が無いのに、通院の時間には車列で常時渋滞していた。

流石に手狭になったためか、平地の広いところに移転が決まった。その際に地域住民から反対運動が起きた。しかし、それは地域の医療を心配しての声ではなかった。元々が紹介状必須であるし、入院精査でもしない限り用の無い所なので、理由は別にあった。

実は、丘陵地の上の方は近所に店がなく、院内の売店や周辺の商店で買い物していた高齢者がかなりいたのだ。数日滞在する必要のある入院者の為に、病院の売店は食品以外に衣服も販売している。多少高くても、バスやタクシーを利用する手間がかからない。そうでなくても零細の地場のスーパーは閉店して、ロードサイドの大型店まで出向かないと物が買えなくなっていた。その中で、病院の売店や周辺の飲食店は高齢な地域住民の物品購入の場にもなっていたのだった。

しかし、医業と関係ない理由であるし、病院は結局移転してしまった。病院周辺の飲食店もほとんど残っていない。地場の小規模スーパーだったところは解体されて、若年層向けの小奇麗なアパートになった。駐車場完備で住民はロードサイド店舗に乗り付けて買い物に行く。また、病院までの坂を登っていたバス路線も廃止になった。住宅地に高齢者が多かろうが配慮されなかった。

そこは極端に過疎化が進んでいる地方ではなかった。それでも地域住民は買い物難民どころか交通手段難民にまでなった。当たり前だった生活インフラに到達できなくなるというのは、地方に限った話ではないようだ。