めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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集団田舎暮らしへの疑問

最近見られる都心部居住のデメリットを掲げて地方移住を奨励する活動をしている人たちを見ていると、いくつかの疑問が出てくる。一つは経済面で現実性を感じないと既に書いた。また、その盛り上がりはどれくらい続くか。そして、それが長年にわたった時の影響はどうか。そして、こういった疑問点の一つ一つがおしゃれ感覚の田舎暮らしの課題となり、場合によっては活動の終焉のきっかけとなると考える。
今のところは上手くっているように外見上は見える。仲間を増やすためのマスコミ向けのとりつくろいかもしれない。詳細は知らない。だが、この種の集団は若年者が多いが、彼らはそこいらにあるような演劇サークルやらメジャーデビューを夢見るバンドのように、結婚や就職を理由に脱退していく可能性がある。
以前から同様の廃墟を借り上げたワークショップなどはあったし、同じようにアングラ演劇やらバンドやらで集まる、というコミュニティは田舎暮らしでなくても存在していた。だが、その種のサークルのメンバーは若年者ばかりの傾向がある。
社会的に不安定な立場のままで年配の人たちがいつまでもその団体に残留して、団体自体が存続をし続けている例はあまり無いのではなかろうか。わずかに残った年配者の多いサークルも、メンバーは何らかの仕事に日中はついていて、活動はあくまでそのついでで行われる場合が多い。多くの人たちは社会的な立場や経済的に安定しないことを理由として去っていくのである。そして、経済的安定を捨ててでも活動にこだわれる人たちは希少なのだろう。テレビ漫画の磯野カツオが40歳になっても平日の午後に空き地で半ズボンで野球をしないように。
だから、田舎暮らしのメンバーが若いということは、対外的なアピールでは若者の力で地域に活性、という見た目にいいものになる。しかし、年配の人がメンバーから去って行ったり、あるいはメンバーに入ってこないというときに、その理由について考えたり、自分たちがその年齢になった時にどう対応するのかについての問題を直視すること。そして、どうしていくか答えがなければサークルが年数がたった時に同じ理由で自然解消することになる。
カルトではあるまいし、人がどうするかの判断や脱退を監視したり束縛することは不可能であるし、許されない。年齢層が同じ集まりならば、就職や結婚で後戻りできなくなったある時期に一気に脱退の流れが加速するだろう。あるいは復旧の難しい自然災害に直面した時も田舎暮らしの放棄を促す理由ができるだろう。
そして、サークルが自然に解消してしまうということは、その段階でメンバーが掲げてきた地域活性だの地方再生だのの取り組みは無くなるということだ。問題は、サークルは無くなればそれでいいのだが、地域それ自体は無くならない。そして、結局それはサークルが批判してきた地方の切り捨てを自分たちで行うのと同じなのである。