めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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陰謀論の生まれる背景

陰謀論を唱えるサイトが実に多い。
私は複数のサイトをマークしているが、陰謀を仕掛けているとする対象は多岐にわたっている。おなじみのユダヤ陰謀論オウム事件公安調査庁陰謀説。警察が事件隠しのために陰謀を仕掛ける。左翼団体への公安の陰謀。挙げ出すときりが無い。
陰謀論は、それ自体の仔細を見ていくと何らかの論の欠陥があり、検証によってたやすく嘘であると論破はし得るが、それを流布する媒体が力を持っている場合には社会的混乱や人権侵害を引き起こしうる危険性を備えている。私が陰謀論の類をよく思わない理由はそこにある。
陰謀論を唱える人たちの言説の背景を見ていくと、ある種の特徴が見出せる。それは、彼らの興味関心の範囲の狭さである。単に、知的関心の対象範囲が狭いと言ってしまえばいいのかもしれない。逆に言えば、知的関心の対象範囲の広い人たち、すなわち、一定の教養があり、高い知能を持つ人たちはそのような陰謀論を唱えないと言える。知的範囲の狭い人たちは、少ない知識の中で物事を捉えたり説明をつけて理解するしかないというハンデがあることが陰謀論の発生する原因であると考えられる。
目の前の理解しがたい物事について説明や解釈を迫られたときに、人々は伝統的に迷信やら神話の類で糊口を凌いできた。陰謀論を唱える人たちは、何ら本題とは関係ないと考えられる手持ちの少ない知識をこの説明作業に優先して当てはめる。そして、出来上がった骨格の間は整合性を書くために、邪推で穴埋めをする。この邪推は、初めから「○○が悪い」という決め付けによってバイアスがかけられている。こうして、一連の陰謀論が完成する。
例えば、カルト宗教が外部の団体から弾圧を受けていると主張することがある。実際は弾圧など誰も加えていないのだが、彼らは弾圧の根拠を挙げる。オウムは米軍のヘリコプターの具体的な型番まで挙げていたが、そもそも教団と米軍はどのような利害関係の対立があったのだろうか。弾圧を捏造して、それと戦うゴッコ遊びを通して構成員の団結を高めたい教団の意図しか感じない。
また、NY911のテロがユダヤの陰謀だとする説を見てみると、911ポルシェ911のメタファだなどと言い出す始末である。ポルシェとテロと何の関係があるのだろうか。恐らく、この説を唱えだした人物はユダヤ陰謀論とポルシェのラインナップにしか興味が無く、ユダヤ陰謀論が金融に関連したことを語っているがために、その説を覚えこむことで社会の仕組みを知ったつもりになり、テロという社会を揺るがす出来事が起こったことを即刻ユダヤ勢力の陰謀として結論付けたのだろう。
最悪なことに、たいてい論をでっち上げる人たちは、その内容を検証できない。そもそも何の検証もされていないものも存在するが、大抵の陰謀論には、根拠めいたものが列挙されて正当性が述べられている。その挙げられた材料が事実でなかったり、あるいは解釈が間違っているものを挙げるなど、ずさんな物が多い。これは、履滅可能性を回避して自説に都合のいい内容ばかりを挙げることに血道を挙げた結果である。

何らかの悪意が無い限り、一定の知能があり、様々な分野に興味関心を抱いて、物事を中立的に論じられる者であれば、このような杜撰な論は立てられない。しかし、インターネットの世界ではこの種の常軌を逸した言説が幅を利かせている。(C)2007