事ある毎に有力者との関係をアピールして、自らの立場を良くしようと画策する者がいる。有力者に繋がりがあるので、要求をのまなければ面倒事になると匂わせてきたり、有力者と同じ扱いをするように要求してくる。
ところが、有力者との繋がりをしきりにアピールする割に、当人が有力者と関係するきっかけとなる社会的立場やスキルが全く無く、なぜ繋がっているのか合理的な理由に欠く事が多い。そして、肝心の関係性について有力者に尋ねてみると、全く関係無いか、ちょっと会った程度の薄い関係性だったりして、繋がりを強調するには無理がありすぎるのである。
こういった人物へ対応する度に、他人の名前を持ち出す行為は、実は怖い行為ではないかと思う。
名前を持ち出す行為それ自体や、それによって損害が生じることで、その人物の対外的な評判を悪くしたり、当人の知らないところでそれが行なわれていれば同意なき名義貸しのようなものだから、ある意味詐欺に等しい。困ったことに、有力者の名前を持ち出す者は大抵その自覚がない。名前を持ち出して他者に譲歩させたり待遇を引き出すが、その先の大事な事、名前を持ち出した相手への配慮が大抵欠けている。
そして、勝手に他者の名前で待遇を引き出す行為は、相手に借りを作る行為に等しいが、勝手にそういった行為に及ぶ者のほとんどは借りを返せない。それだけのことが出来るなら、そもそも他者の立場を悪用しなくても自分で物事を解決すればよい。
さらに、他者の名前を勝手に使う者は、その権力が例外的に自分には及ばないと勝手に信じている。だが実際は、名前を持ち出して不当要求する者の虚構の権力ではなくて、有力者が本当の権力を投入して勝手に名前を使った者に報復だってあり得る。その報復に耐えられると自信があって事に及んでいるのだろうか。
暴力団が組織の名前を使って市民を脅すと犯罪になる。有力者の名前を勝手に持ち出す者も、犯罪と大して変わらない手段で利得を得ようとしているに過ぎない。
