何十年も前にドラマ化された漫画の「ドラゴン桜」がまたドラマ化されたという。それに限らず、定期的に流れる決まりでもあるのかと思うほどに芸能人の大学受験企画が毎年のように扱われる。番組で大学受験をするという企画のほかに、毎年の様に東大受験に挑戦しているという芸能人がマスコミに登場する。
正直、この種の企画の大学受験は受験になっていない。肝心の共通テストの点数が取れておらず、志望とされる国公立大学で受験すべき個別試験の段階まで行けないで企画が終了していたり、私大でもまず合格していない。そもそも、学習到達度やそれによる思考力を評価するための模擬試験などの成績は明らかにされないままで企画が進行していて、元々大学受験のレベルに無い者が漫然と受験の時期まで過ごしていたようにしか見えない。受験する学校のレベルを落として合格の実績を作ることもしておらず、そもそも試験に対応できるだけの網羅的な勉強が出来ていないのに受験をしているのではないかと疑う。
大学受験を実際にしたことのある者や合格への意欲がある者ならば、共通テストが不出来なのに個別試験がもっとできるという訳が無いことは十分わかっていることだろう。今時テレビなど暇人しか見ていないから視聴者層はそういった実情はわからないのかもしれないが、番組の企画として扱っている者は有名大学卒ばかりであり、本気で受験する気の無い者を長時間拘束して教材を押し付けて受験会場に行かせていることは十分承知の上で番組を制作しているということになる。
東大受験を毎年しているという芸能人とか、そういった企画の多くは東大受験企画という題名は間違いで、実際は大学入試共通テスト受験企画ではないかと思う。高校卒業程度の者の学習到達度ならば知っていて当然の内容で構成された問題が全く解けず、そこから先に進むことがない企画である。だから、東大とか銘打たれていても肝心の大学の個別試験の話まで行かない。こういった芸能人は本気で受験する気があるのであれば、もう一回高校に行ったほうが良い。
高校卒業程度の者が具備すべき知識が無い状態で何年も共通テストを受け続け、仮に共通テストで出願可能な点数に到達したところで、そこから選択肢マーク方式ではなく一から回答を論理だてて記述していく各大学の個別試験が待っている。本当は、それが東大入試なり大学受験の本番部分である。高校卒業程度の履修すべき内容を理解していない状態で解答できるわけがなく、今度はその障壁が延々と続くことになる。
本当に大学に合格する層は共通テストは当たり前に得点している。この時点で大差がついている形勢を逆転するには、それこそ下りのエスカレーターを逆走して最上階まで上り詰めるほどの学習と到達が必要なのに、芸能人の大学受験企画はそれだけの熱心さや取り組みが見られない。本当の受験生は、能力の個人差があれど大なり小なりそれだけのことを実はきちんとこなしている。それだけの人たちと同等かそれ以上になりたいならば、彼らよりも多くのことをしなければならない。否、して当たり前だ。ましてや、自分の形勢が不利だとわかっているならなおさらである。
その辺の受験生ほどの熱心さと取り組みも無いのに成果が出るわけがない。芸能人の大学受験企画は受験生に失礼であるし、大学受験がその程度という認識を持たれると受験生がかわいそうである。そもそも、芸能人としての年数相応の積み上げがあったならば、本当は大学生に文化芸術を教える立場になっている。定期的に大学受験を利用している芸能人は、売名行為ではなく本当に学問が必要なのであれば受験企画などせずにひっそり進学してひっそり卒業してから公表すればよい。
