めぐろぐ

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。日常生活の雑多なことを記載していきます。

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富士そばの味は従業員の命の味

東京都内を中心とした首都圏で展開している立ち食いそば店で富士そばという企業がある。数年前まで、富士そばはしきりにメディアに登場してアルバイトにボーナスが出たり大みそかに休業するという美談を披露してホワイト企業というイメージを作っていた。

一方で、立ち退き料目的で出店してそれを大きな収益の柱にしているのではないかという指摘がされていた。実際に行ってみると、味は微妙で店内は雰囲気が荒んでいて揉め事を起こす客もいた。店内にはカードローンのチラシを配布するポストが置かれていて、そういう客層なのだろう。正直雰囲気の良いところではなかった。もっぱら筆者は小諸そばばかり行っていた。

その富士そばが労組幹部を労組ツブシのように解雇したり、コロナ関連の補助金を不正受給していたというニュースを見て、あの店だから当然するだろうし、立ち退き料の件といい富士そばらしいと思った。

こういった企業の生殺与奪は客が握っている。

富士そばは人通りの多い家賃の高い一等地に立ち退き料目当てでテナント入居している。従業員はアルバイトばかりで、食材は麺も天ぷらも外注でカレーもレトルトだろう。あちこちから仕入れたものを熱を加えて出している。要するに、本業は元々別荘販売をしていた頃のように不動産業であり、蕎麦はおまけのようなものである。立地で集客して回転で収益を上げている。

今はコロナ流行で客が減っているが、今回のニュースを見て富士そばには行かないという選択を客がしたり、あるいは行くのだけれども安いメニューで長時間店内に滞在するような客が増えるだけで富士そばの運営会社の収益モデルは瓦解することになる。テナントに入居し続けて立ち退き料をもらう前に原状回復費用を負担して撤退する羽目になる。蕎麦打ちや出汁とりの技能があるわけではなく、食材をゆでて右から左に流す以上の売りはないから今更付加価値を求めるのは難しい。そして、富士そばの客層は数十円の値上げでも敏感に反応して客足が遠のく経済レベルなので、値上げで補填も難しい。

行かなければブラック企業は滅ぶというわけである。富士そば以外にも立ち食い蕎麦チェーンはある。小諸そば、梅もと、ゆで太郎、嵯峨谷、箱根そば、しぶそば、相州そばなど数えだしたらきりがない。だいたい出店地域は同じようなところが多いので、富士そばから少し歩けば同業は見つかる。味、客層などで行きつけを決めればいい。

労組は請求するものは請求しつつ、富士そばの運営会社にしがみつこうとしないで他の企業への従業員の就労斡旋したらよいのである。従業員は辞めてもほかの店にまたアルバイトに行けばいいし、サプライヤーも他と取引すればよく、腹が痛まない。

安い外食を見たときに思うべきことは、食材に表にできない事情があるから安いか、ブラック企業が従業員に負担を強いることで成り立っているということである。大体は後者であり、安く食べているのは従業員が削った命なのである。